2014年9月5日金曜日

琵琶弾き語り



8月31日、リンデンさんで室井三紀さんの筑前琵琶弾き語りを聴いてきました。
演目は、
小泉八雲の「雪女」
宮沢賢治の「風の又三郎」
小泉八雲の「耳なし芳一」

琵琶という楽器をみたのは初めてです。
琵琶はペルシャ周辺を発祥とした楽器で、奈良時代に渡来しました。
日本にわたってきて、飛鳥時代からその形はずっと変わっていないそうです。
背中あわせの2つの三日月と、ぐっと曲がった柄の形はとてもエキゾチック。
古いままで変わらないものもあるんだなぁ。なんだかそれだけで古代のロマンを感じてしまいます。

盲人が琵琶を弾いて、芸能や宗教祭事にたずさわるという習俗も合わせて渡来したので、日本での琵琶法師も、ふつう盲目なのだそうです。
芳一だけではなかったんですね。

琵琶法師はその昔、怨霊による祟りが畏れられた時代に、この世とあの世との境界に位置して自在に往還できる、シャーマン的力を持っていたのだとか。 「琵琶法師」ー異界を語る人びと(兵藤裕己)(←ちょっと興味があって図書館で借りてみました。)
小泉八雲の怪談・奇談に、琵琶がぴったりくるのはそういう歴史があるからなのか。

室井さんが弾いてくださった筑前琵琶は、大きい薩摩琵琶を女性用に改良したものだそうです。
琵琶も大正・昭和の初期には、人気があって1家に1台あったというのでちょっと驚きました。

古典以外に、演劇と琵琶の語りを合わせた、様々なジャンルの話に挑戦されている室井さん。
古典は琵琶にぴたりとはまって、私を昔々の情深い霊の世界へ心地よく引き込んでくれました。でもきっと、琵琶を今の時代に生かすには、古典だけでは駄目なんだろうな...
形は昔のまま、でも弾き語りは幅広く、その可能性を広げようとしています。

また、いろいろ聴いてみたいです。


※カフェギャラリーリンデン
http://www6.ocn.ne.jp/~linden/