2023年9月17日日曜日

原始布展 わかやぎ



ご近所の着物や和装小物を扱うわかやぎさん。
薇(ぜんまい)、和紙、芋麻などで作られた帯やショール、バッグの作品展をお友達に勧められて行ってきました。

自然がもたらす恵みを、このような美しいものに作り変えた昔の人々に頭が下がる思いです。

さまざまなところで見聞きすることですが、この分野の職人さんも例に違わずわずかとなってしまっていて、手仕事で生み出される布や織物は大変希少だということです。




和紙で織る

驚いたのが、和紙で作られた帯でした。紙を撚って布になる過程を見せていただきました。
紙から糸、織って布へ。新品の和紙ではありません、びっしりと文字が書かれた和紙の再利用です。墨の文字が点々といい感じの模様になっています。

布を解いたら読めますよ。
え、恋文だったりしたらステキ!スパイの秘密文書だったりして?!
・・・妄想止まらず、笑。

でも、墨の部分は濡れたら滲むのでは?
スズリでちゃんとすった墨は滲まないんだよ、墨汁は滲むけどね。
そんなことも知らない;; 

見た目からはとても和紙でできたとはわかりません。
手にとってみるととても軽く、夏でも涼しそうです。

 



ぜんまい(薇)織物

ぜんまい織物というのを初めて知りました。
山野に自生する若いぜんまいを採取して、茎は食用となり、頭部分をおおっている綿状のものを乾燥し、木綿や真綿(または絹)と合わせて混紡糸を作り、その糸をヨコ糸として織物を製作するのだそうです。

防虫・防水に優れ、素朴さと独特の風合いの妙を持って広く珍重されていたとか。
なかでも技術を要する珍しい織り方をしたショールが展示されていました。
この織り方ができる職人さんがもういなくて数点残すばかりとのこと。
柔らかい風合いで、素朴な色合いがとても素敵でした。この織り方だと引っ掛けてほどけることがないそうです。
着物にも洋服にも良く似合いそうですが、やはり着物にはおったら粋だなぁと憧れました。





貝殻の煌めきを織り込む


海の中では黒いのに、磨くと七色に輝く貝の不思議。
螺鈿(ラデン:貝を使った装飾法)を使った工芸品は見たことありますが、これをどうやって布に織り込むのか。ここでも和紙が大活躍!貝片を和紙に貼り、その和紙を細かく裁断。それを緯糸にして絹と織り込んでいくのだと。。。過程がわかる現物を見せていただきました。

① 貝片を美しく並べて和紙に貼り付けたもの


②細く裁断されたもの




 
③和紙を横糸として絹と織っていく過程。ギラギラしたものが白糸で薄まり柔らかい繊細な風合いになる!




この製法で織り込まれている、かなりお値打ちの高級帯も見せていただきました。
繊細で細かい分、キラキラも品良く溜息出るほど美しいー。
博物館にあってもおかしくない・・




経済的に低迷する我が国で、都内の高級ホテルに泊まれるのは外国人ばかりと聞きます。そして日本の富裕層が追いかけるのは、海外のブランドものばかりという現状も。
富裕層でなくても、少し余裕ができて好きであれば、価値の下がる円を溜め込むより、こういった貴重な伝統工芸品を購入すべきではないか、それが結果として国の文化を守ることにもつながるのではないかな・・・・
余裕もないのにふとそんな思いが頭をよぎりました、笑。
買えるどなたかが素敵に着こなして、次世代に伝え残してほしいと切に思いながらお店を後にしました。

わかやぎさん、色々見せていただきありがとうございました。