2015年11月29日日曜日

駒場のまちあるき

ハラハラおちる落ち葉をキャッチすることに夢中だった女の子

駒場のまち歩きをしてきました。
井の頭線駒場東大前駅から、大学内の綺麗な銀杏並木道を通り抜けると、駒場公園に着きます。大学校内は駒場祭の準備で活気がありました。

公園入口の石造りの立派な門を入ると、楚々とした旧前田侯爵邸の和館と風格のある洋館があらわれます。
旧前田邸は、旧加賀百万石前田家の16代当主、前田利為(としなり)侯爵の本邸として、昭和4年に建築されました。約一万坪の敷地に、地下三階地下一階建ての洋館と、渡り廊下で結んだ二階建ての和館があります。
和館は先月耐震補強工事が終わったばかり。
洋館は来年4月より補強工事が始まるため、この秋冬は、両館とも見学できるチャンスです(^-^)b


まず洋館へ。玄関の扁平アーチは、イギリス後期のゴシック様式を簡略化したチューダー様式の特徴だとか。とても落ち着いた風格のある玄関です。

技術の粋を集めて建築され、当時東洋一の大邸宅と人々の目を見晴らせたものだったそうです。王朝風の装飾が施され、イタリア産の大理石で作られた柱、大きな暖炉。 今は、寝室と書斎以外部屋の家具などは一切ないのでガランとしていますが、食堂の仕掛けや工夫など常駐のボランティアの方にガイドをお願いすると、いろいろ面白い話が聴けます。

東京大空襲では、核攻撃となんら変わらないほどに焼け野原になったといいます。図書館など真っ先に爆撃を受けたのに、占領後を考えて、こういった都内の洋館のほとんどが攻撃から外されていたと聞くと複雑な気持ちになります。



侯爵ご夫婦の寝室。
長くヨーロッパに滞在した経験がある前田侯は、洋館で西洋式に暮らしていました。
使用人は100人以上いたそうです。華麗な侯爵家の生活がここに・・・・:当時は表向き洋館でも、中は日本式生活を送った人がほとんどで、完全に西洋式で生活した例は珍しいそうです。






こちらは、和館。私が落ち着くのはやっぱりこっちだけど・・(笑) ここは、迎賓館のようにおもてなしや催し物専用の建物だったそうです。茶室の高さは外人さんに合わせて通常より天井が高い作りになっていました。風情のある茶室は、現在も手軽な価格で誰でも借りることが出来、大人気だそうです。


花の模様入り欄間や、計算された庇の長さなど、和の美しさにこだわった書院造りの建物。




利為侯は戦時中に亡くなり、終戦後は連合軍に接収され、司令官の官邸として使用されました。
マッカーサーも住みたかったようですが、身の危険を感じてあきらめたとか。



戦後に占領されるという恐怖とはいかほどのものか。
当時はふすまなどにも、華やかな龍の画などが描かれていましたが、終戦後に傷つけられぬよう
すべて持ち去って今は美術館に保存されているということでした。
だいぶ薄くなってしまっていますが、引き戸には、松竹梅と春夏秋冬の墨絵が描かれていて
粋な施しがあちこちにあっただろうことが、推察できます。



洋館と和館をつなぐ通路。
私はなんだかこの場所に惹かれて、しばし佇んでしまいました。
普段は非公開の場所です。



すぐ近くに天の川と称する小川が流れていました。
両脇の石が彦星と織姫で子孫繁栄の為作られたそうですが・・
詳細はボランティアさんに聞いてみてください、笑。


お庭がまた綺麗で、畳に座り込むとしばし動けなくなります。
紅葉はあともう少しという感じでした。12月頭が見ごろだそうです。



駒場公園から住宅街のなかを歩いて5分ほどで、日本民藝館へ。




素朴な味わいのなかに潜んでいる美。道具の機能性に含まれている美。人々が生活のなかで使っている道具に美があると説いた民藝運動。日本民藝館は、柳宗悦氏が優れた民芸品を発掘したり、創作する民藝運動の本拠として、企画し建設したものです。大きなカメがずらりと並べてあったり、異国情緒が漂う存在感のある建物です。

旧前田邸には年配の女性が多かったのですが、こちらにはアート系?のおしゃれな若者がたくさんいました。当日は沖縄の紅型に魅せられた染色家、芹沢銈介展(生誕120年記念)が開催されていました。息子さんの柳宗理デザインは、私も大好きで、おたまやボウル・ミルクパンを毎日のように愛用しています☆

毎年12月に行われる日本民藝館展-新作工藝公募展-は、手仕事による伝統的な工芸品を中心に、日本各地で作られた新作工芸品の数々を展示・販売する、恒例の新作工芸公募展。
狙って行くのなら初日に是非。行列ができる人気の催しです。
★平成27年度 日本民藝館展 -新作工藝公募展-2015年12月12日(土)~24日(木)




めぐろ観光まちづくり協会では、『駒場のまち歩き』以外に
『東京五不動尊めぐり』や『めぐろと歌舞伎』など、年に6回ほど観光講座を開催しています。
歴史ある目黒区は、様々な切り口でまち歩きが楽しめる街だと思います。

来年の1月のまち歩きは、『山手七福神巡り』。
江戸時代に流行ったお正月行事「七福神もうで」を体験できます。
六つのお寺を回ると、全部で七つの福神ダルマ(おみくじ付)が揃います。
七体揃えて並べると、けっこう可愛い~笑顔力満点(^^)
昨年は応募者数を大幅に超えて、2回開催されました。
観光協会のHPから申し込めるので、興味ある方は早めにどうぞ。


昨年はじめての試みだった青の洞窟(イルミネーション)、
安全が確保できないとの区の判断で今年は見送られました。
責任の所在がないまま開催して、何か起こってからでは遅いので
十分に準備して来年また開催されると良いですね。

大活躍の桜の木。春までゆっくり静かに休めそうです。。